大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成5年(わ)4328号 判決

裁判所書記官

川合請一郎

本店所在地

大阪市中央区島之内一丁目一七番一六号

株式会社

堀伸

右代表者代表取締役

堀後伸司

本籍

三重県熊野市新鹿町一二二〇番地の三

住居

大阪府泉南郡田尻町大字嘉祥寺九二七番地の一三

会社役員

堀後伸司

昭和二二年九月二四日生

主文

被告人株式会社堀伸を罰金一八〇〇万円に、被告人堀後伸司を懲役一年に各処する。

被告人堀後伸司に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社堀伸(以下「被告会社」という。)は、大阪市中央区谷町三丁目四番五号に本店を置き(平成五年五月一〇日、本店所在地を同区島之内一丁目一七番一六号に変更。)、不動産売買業等を営むもの、被告人堀後伸司(以下被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和六二年一二月一日から昭和六三年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、別紙1の修正貸借対照表記載のとおり、一億九九二〇万六一一八円で、これに対する法人税額が、別紙2の税額計算書記載のとおり、八二六九万七五〇〇円であるにもかかわらず、不動産売買益を除外するなどの不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成元年一月二七日、大阪市中央区大手前一丁目五番六三号所在の所轄東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙1の修正貸借対照表記載のとおり、一六六七万八〇〇〇円で、これに対する法人税額が、別紙2の税額計算書記載のとおり六〇三万五七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出して、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙2の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税七六六六万一八〇〇円を免れた。

(証拠)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(平成五年一〇月六日付、同年一二月二四日付)に対する各供述調書及び大蔵事務官(平成二年四月二四日付、同月二七日付、同年五月一一日付、同年七月九日付、同年八月二三日付、同年九月三日付、同月一一日付、同月一二日付、同月二〇日付、同月二一日付二通、同年一一日付、同月一六日付、同月二二日付、同月三〇日付、同月三一日付、同年一一月二日付、同月一五日付二通、同月二二日付検察官請求番号九九のもの、平成三年五月九日付二通、同月一七日付、同月二〇日付、同月二九日付二通、同月三一日付二通、平成四年一二月一四日付三通)に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(検察官請求番号六ないし二五)

一  山崎平三郎、脇坂重敏、坂田博、の検察官に対する各供調書(謄本を含む。)及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  藤井利一、若林義康、俵山研一、堀後一夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  福永浩の検察官に対する各供述調書謄本

一  大蔵事務官作成の証明書(検察官請求番号二)

一  大蔵事務官作成の平成四年一二月二五日付報告書

一  登記官作成の法人登記簿謄本

(法令の適用)

被告人の判示所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により平成七年法律九一号の刑法の一部を改正する法律附則二条一項により同法による改正前の刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

さらに、被告人の判示所為は、被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により、同条二項を適用して、右罰金額はその免れた法人税の額以下とし、その金額の範囲内で被告会社を罰金一八〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(出席検察官)室田源太郎

(出席弁護人)小野哲

(裁判官 田中正人)

別表1

修正貸借対照表

〈省略〉

別表2

税額計算書

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例